キモータランド

現実と虚無

ドッキリドッキリドンドン


文:クレイジー・ピエロ・裕文


ドッキリとは

バラエティ番組の表現手法のひとつ。番組進行を知らない、または虚偽の進行だけ知らされている出演者を騙したりイタズラを仕掛けたりして、出演者の反応を楽しむという手法。また、個人間でのイタズラなどもドッキリということがある。

 


ドッキリ。


最近では『モニタリング』、『水ダウ』、『ドッキリGP』などの番組がその例だが、どの番組もゴールデンで高視聴率を叩き出していることから、日本人は全員ドッキリが好きなことがわかる。


そんなドッキリだが、皆さんも一度はテレビの真似事を仕掛けたり、仕掛けられたりしたことがあるだろう。


今回は26歳の私が、自身が体験し、記憶に刻まれてるドッキリ2つについて述べていく。

 

 

ドッキリ①「生まれて初めて」

確か小学校4年生頃だ。

私はサッカークラブに属しており、平日授業が終わると玄関にランドセルを放り投げ、チャリでに学校に戻り、友達と校庭でひたすらボールを蹴るのが日課だった。


ある日、校庭に向かうと友達らがボールを蹴らずに、ゴール裏の土の山に集まっていた。


「みんななにしてんのー?」

と声をかけると、

「おい!カブトムシがいたぞ!」

と返事があった。


マジ〜?と駆け出しながら、違和感を覚えた。

まず、11月頃だったのでカブトムシがいるはずがないのだ。

そして、カブトムシがなぜ林ではなく、土の山にいるのか?

極め付けは、みんなすごくニヤニヤしているのがわかった。


私は「あ、これ多分嘘だ」と直感的に思った。


嘘だとはわかっていたが、俺にも見せて〜と輪に加わった。


みんなが囲んでいた土の山には、何もいなかった。

予想通りだった。この後の展開もなんとなく予想できた。


お調子者のケンちゃんが

「いるよ、カブトムシ…ほらぁぁぁ!!」

と言いながら、カブトムシの幼虫のガチャガチャフィギュアを投げつけてきた。


私は180%のテンションで

「うわぁぁぁぁ!!!ビックリした!!!」

とリアクションした。


ぶっちゃけ、予想できた。

周りはギャハハハ!と爆笑していた。


これが私の記憶に残っている生まれて初めての、最古のドッキリだ。

 

なんとも小学生らしい雑なドッキリだが、美しい思い出だ。

 

 

 

ドッキリ②「カスの未成年の主張

これは中学2年、思春期岳7合目の頃だ。


私の通っていた中学は田舎の公立中学で、約10年後の現在から見ると、国家公務員になる者、実家を継いだボンボンの歯医者、プロラグビー選手、中卒バツ3子供5人のシンママ、ブラックエンペラーの8代目総長 等、今思えば『人種のサラダボウルのバイキング』のような学校だった。


そんな私が属していた2年3組は俗に言う"メンツが濃い"クラスで、みんな仲良し♪ないいクラスだった。


ある日、ヤンキーのユージが2限後の休み時間に男子を集めてドッキリ敢行を宣言した。


内容は、昼休みにみんなで駄弁っている中、女子グループのリーダー格"シミズ"が、男子グループのイジられ役"ヨシオカ"にいきなり告白をする、というものだ。


そして、ヨシオカがオドオドしている間にユージが「テッテレー!」という算段だった。


私は、すごく嫌な予感がしたので「楽しそう〜」と言って、計画側に回らないように逃げた。


なぜならヨシオカがガチでシミズのことを好きだったのを知っていたからだ。

 

同じくその状況を知っている何人かは「端っこで見てるわ〜」「それヤベ〜」「ウケるわ〜」とうま〜くすり抜けた。


残ったヤンキーたちは

「俺、シミズにお願いしてくるわ!」

「俺はさりげなくヨシオカ連れてくるわ!」

と大盛り上がりだった。


ユージは4限の間、ずっと「テッテレー!」ボードを自作していた。

「ドッキリ!」ではなく「テッテレー!」と書いているのがめちゃくちゃバカだなと思った。


そして昼休み。男女10人くらいでワイワイ駄弁っていた。

私は事情を知っていた友人たちと廊下から見ていた。


そして話の流れをぶった切って、シミズが口を開く。

「てか〜ウチ、ヨシオカのこと好きなんだよネ」

瞬間ヤンキーたちが

「オイオイオイオイ!!」

「ヨシオカどーすんの!?」

と囃し立てまくった。


当のヨシオカは

「え〜…何その急な告白ゥ〜…」

とニッヤニヤしながらオロオロしていた。


ヤンキーたちが爆笑する中、

吉岡は「それ、付き合おうってことゥ〜…?」

とシミズに聞いていた。

廊下組は「あっちゃ〜」と見ていた。


ユージは全然「テッテレー!」しない。


シミズはシミズで「テッテレー!」がないと何もできないので、

「いや、付き合うっていうか〜…?」

と言っている中、


ヨシオカが

「俺も好きだったから…」と言いかけ

シミズは「へっ?」と乙女の反応をし、

ヤンキーたちは転がって笑い、

廊下が「アッチャ〜」の瞬間


ユージの「テッテレーーー!!!!!!」

が炸裂した。


ヤンキーたちが爆笑し、ドッキリ大成功と騒いでいる中、なんか流れでついでに告白したヨシオカ、顔を赤らめているシミズがクラスの中心にいる画が、ドラマのワンシーンのようだったのを覚えている。


これは余談だが、ヨシオカは先述したお調子者のケンちゃんにカンチョーされ、泣いてしまい、一時期アダ名が「アナル・クライ・ヨシオカ」だった。